モノトーンミュージアムについて

はてなでの初戦は、『モノトーンミュージアム』について。
ひょんなことから近いうちにモノトーンミュージアムをプレイすることになったので、予習がてら覚え書く。


1.モノトーンミュージアムについて
すがのたすく さんによるアイロニックメルヘンRPGらしい。
世界は俗に言うファンタジーというヤツで、世界では“ほつれ”と呼ばれる危険な現象によって、崩壊の危機に苛まれているらしい。
PCたちは“ほつれ”や異形の事件と相対し、“ほつれ”を引き起こしている原因を突き止め解決するゲームらしい。


システムはスタンダードRPGシステムで構成されており、カードゲームっぽい最適解ゲームである。
ただし、お決まりの奇跡とか神業のような超常パワー(宣言すれば俺TWEI!な能力)はない。その代わり、クラスごとに絶対に取得しなければならないスキル(クラスを象徴しているスキル)が1つ存在する。正直、足枷以外の何者でもない。
また、PCは『逸脱』と呼ばれる超常スキルを取得できる。これは現実から逸脱した能力(火事場のバカ力的な)であり、使用するたびに『剥離率』と呼ばれる値が上昇する。この『剥離率』が上昇するとPCは異形化してしまい、化物に変化してしまう。現実から離れた能力=化物の能力ということですね。有り体に言えば、GM預かりになるんだけど。


システムは今のところタダ。
公式よりDLできる。
ワールドガイドだけでも読む。


詳しくは以下の公式
モノトーンミュージアム公式HP


2.PCの目的
このゲームはすごい。
公式サイトの「モノトーンミュージアムとは」にも書かれているが、PCの目的は「“ほつれ”や異形の事件と相対し、“ほつれ”を引き起こしている原因を突き止め解決する」ことである。
ただし、これに対するシステムからのインセンティブは皆無と言っていい。
システムの「境遇表」を見ても、PCが“ほつれ”を繕う動機がほぼない。また、さらに輪をかけるようにPC作成の項目には以下のような文言がある。

『モノトーンミュージアム』におけるPCは、立場や職業などにおいて、必ずしもNPCとの明確な差はない。

また、ワールドセクションの人間の項目にこのように記載されている。

周りよりちょっと足が速かったり、感覚が鋭くなったり料理を美味しく作れるようになったりといった日常のちょっとしたことから、未来を予測したり、異種族との意思疎通。中には水を操ったり、街ひとつを吹き飛ばすほどの大きな力まで、非常に個人差がある。

つまり、PCとNPCに大差はないし、ましてや目的もあまり変わらない。
たしかに、“ほつれ”は世界を崩壊させる要因であるため、発見次第すぐに繕わなければ!と思うことは明白であり、大なり小なりみんながそれに対して一丸となって立ち向かわなければならないことが最大のインセンティブであるが、それがPCである必要性はどこにもない。*1
俺がキャラクターならば繕えそうな人材を投入すると思う。
戦闘しなくていいよな?
そもそもPC以外の誰かが解決するからいんじゃね?


3.SRSじゃないのか?
SRSの基本的なゲームの流れは以下のようなものだ。

  1. オープニングフェイズ
  2. ミドルフェイズ
  3. クライマックスフェイズ
  4. エンディングフェイズ

オープニングで状況やらハンドアウトやらを提示する。
ミドルで調査する。
クライマックスでボスと戦闘する。
エンディングで物語の顛末が語られる。
そうモノトンでは、クライマックスフェイズが発生しない確率が非常に高い。*2
そもそも戦闘しなくても解決できる可能性があるからだ。
モノトンはSRSである必要性が全くない。
むしろ別立てのシステムデザインをした方が世界観を十全に表現できるのではないか?
いくら『逸脱』やら『異形』やらをモチーフにしたからと言って、SRSから『逸脱』する必要もなかろうに。。。


4.いろいろ書いたけど
前文でひどい書きようだけど、モノトンは非常に面白そうなゲームであることは間違いない。
ただプレイヤーの善意に寄与してる点が前世代的ではあるが。。。
たった44ページしかないワールドセクション*3がこのシステムのすべてであろう。
まぁ、世界観自体かなりニッチな製品ではあるけど。。。

*1:プレイヤーへのインセンティブは、演目パートナー(演目=シナリオに参加するためのモチベーションとなるべき人物。メインNPC)によって与えるべきとされているが、これを善意と言わずしてなんと呼ぶのか?これはルールとは言えない。

*2:モノトンにはフォーカスシステム(FS)が導入されている。FSは判定と表を用いた双六ゲームでアルシャードとかにあるあれだ。正直、ブルーローズとかガンドッグとかにある似たようなルールの方が洗練されているとか思わないことにする。

*3:このワールドセクションは秀逸なまでにまとめられている。おしむらくは、各国の人口がおかしくないかという苦言。一桁間違えてるんじゃないだろうか...