CorporateEnclaves〜Los Angels

 来るべくまとめを作成するために覚書として記述する。
 CorporateEnclavesはShadowran 4th用のシティガイドであり、
 2070年当時の企業が支配する都市にスポットをあてたシティガイドである。
 メインとしてLos AngelsとNeo-Tokyoを扱っている。
 
0.掲載都市
 ・Los Angels(ロサンゼルス)
 ・Neo-Tokyo(ネオ・トーキョー)
 ・Dubai(ドバイ)
 ・Europort(ユーロポート)
 ・Manhattan(マンハッタン)
 ・Nairobi "Gateway to Space"(ナイロビ“スペースゲート”)
 ・Tenochtitlan(テノチティトラン)
 
 今回はロサンゼルスに関してまとめてみたいと思う。
 
1.概要
 ロサンゼルスは非常に地震とそれに伴う津波・洪水の多い土地である。
 2020年から大きなものを数えただけでも3つ以上ある。
 しかし、それであってもロサンゼルスは斜陽の気配を見せることはない。
 と言うのも、世界に冠たるメディア・キャピタルとして何度も災害から立ち上がってきたからだ。
 ロサンゼルスの歴史は言わば、被災と復興の歴史と言える。
 それを最もよく表しているフリーウェイ10号線の南から
 オレンジカントリーの北辺一帯にある広大な被災地域である。
 この辺りは地震と洪水の影響により未だに復興の手が行き渡っておらず、
 外部の者からはEl Infierunoと呼ばれている。
 また、沿岸部一帯はこうした浸食と地殻変動により汚染された海に没してしまっている。
 ロサンゼルスの至る所に被災者のキャンプがあり、
 低階層の者達はそのままボートピープルとなってしまっていると言うことも珍しくはない。
 
 
2.災害
 ロサンゼルスを語る上で最も外してはならない項目として、
 2069年に発生した“ツインズ”と呼ばれる大災害がある。
 このツインズとは、サンアンドレアス断層とサンペドロシェルフ断層を震源地とした
 2つの地震の総称であり、
 ほぼ同時刻に発生した地震は、その相乗効果により甚大なる被害を世界中にもたらした。
 無論、それまでに様々な被害を受けていたLAにとってその被害はあまりにも悲惨であった。
 地震による地殻変動だけでなく、津波被害、
 及び二次災害である火災や高層建築物の倒壊は、LAを焼け野原にするに十分であった。
 こうした地震によってかつてのロングビーチをはじめとした海岸線は海に没した。
 特に、ロングビーチ一帯は“ラクーナ”と呼ばれる環礁地帯のような形状に変化してしまった。
 ここらではかつての高層建築物や隆起した土地がさながら群島のように立ち並んでいる。
 プエブロ企業評議会やホライゾンは警備を行ってはいるが、
 その他の地域に比べれば些細なものである。
 ラクーナには多くのゴミ漁りたちが集い、
 海中に没した企業施設から様々なお宝をサルベージしている。*1
 地殻変動によりラクーナには“シンクホール”と呼ばれる縦穴や横穴が数多く出現した。
 こうしたシンクホールの全容は未だ解明されておらず、
 サンフランシスコやラスベガスなどの内陸部の方向に延びている。
 これら巨大な洞窟は地球全体をつなぐトンネルであるとか、
 祖先霊がアルケラから地底世界に戻ったときの通り道だとか、
 あるいは世界の大元へと繋がる秘密の抜け穴だとか憶測が飛び交っている。
  
3.キープレイヤー
 ロサンゼルスのキープレイヤーはホライゾンをおいて他にいない。
 プエブロ企業評議会(PCC)発祥のメガコーポの新鋭である。
 彼らはメディア媒体に強力な利権を持っているだけでなく、
 建築や土木といった産業をも得意としている。
 彼らがこの土地においてキープレイヤーとなれたのは、
 間違いなく災害のおかげと言える。
 ロサンゼルスは元々様々な企業が跋扈する市場であったが、
 それらを全て灰燼にしたのは言うまでもなく多くの災害であった。
 ホライゾン(とPCC)*2はこれら災害への復興資金を提供したり、
 悪逆非道たるアズテクノロジー(とアズトラン)から街を守ったりして、
 英雄として市民からは好意的に迎えられたことは言うまでもない。
 ホライゾンとPCCは決して共同歩調であるわけではない。
 PCCは政治的な側面で多くの権利を有しているが、
 ホライゾンの商業的バックボーンがあってこそである。
 しかし、精強なアズテクの軍隊に立ち向かうためには、
 彼らは手を取り合わなければならない。
 なぜならば、アズテクの悪魔の軍団は非常に強力であり、
 すぐ南のサンディエゴには彼らの部隊が駐留しているからである。
 もう一方のキープレイヤーはもちろんアズテクノロジーである。
 彼らはデンバー戦線や南方戦線がなければ、
 LAを手中に収めていたことは明白であったと言われている。
 彼らの危機管理能力は非常に優れており、
 彼らの領土(正確にはアズトランのだが)では、災害対策が厳重に施されており、
 特にサンディエゴでは十分な対策がなされており、先の地震においてもほとんど被害がなかった。
 彼らはLAの南部やDMZで様々な策謀を巡らせており、
 ホライゾンとPCCにプレッシャーを与え続けている。
 また、LA内部にもアズテク親派の企業や団体が潜んでいることは、彼らの頭痛の種となっている。
  
4.アンダーグラウンド
 アンダーグラウンドの大部分はマフィアによって統治されている。
 彼らは“ディズニーランド・マフィア”と揶揄されるほどアメリカのマフィア界では低い存在だった。
 しかし、シカゴから焼け出された多くの“本物の”ボスや幹部たちによって生まれ変わった。
 彼らは多くの闇の商売にその触手を延ばしており、
 特に豪華な闇賭博場は一種のセーフハウスとなっている。
 彼らの賭博場はいかな企業権力であっても浸食することのできない場所となっており、
 カメラ・ドローンが警戒しているストリートであっても、
 一歩足を踏み入れることができればそこは快適な空間となっている。
 無論、こうしたことは行政府や企業高官との癒着があってこそであるが。
 残りのパイを取り合っているのは、三合会とコシャリである。
 三合会は闇賭博とBTL密売に精を出しており、
 その主な支配地域はサンフランシスコに撤退したヤクザたちの領土である。
 彼らにとって不幸なことはそこいら一帯が災害によって海中に没してしまったことである。
 コシャリはPCCに広く分布しているネイティブではない部族的犯罪シンジケートである。
 彼らはゆすりや売春、闇賭博によって生計を立てている。
 彼らの基盤はラスベガス南方にあり、そこでは部族のカタギにまで浸透しているシンジケートである。
 
 アンダーグラウンドのもう一方の主役と言えばギャング達である。
 彼らの中で注目すべき勢力と言えば、バーニング・エンジェルスとエンシェンツである。
 バーニング・エンジェルスは残忍で凶悪な武闘派組織であり、
 彼らと渡り合うためにはよく訓練された企業私設軍が必要である。
 彼らの武装は驚くほど潤沢であり、ちょっとした紛争ですら行うことができるものである。
 それは彼らが独自の武装供給ルートを保持しているからに他ならない。
 エンシェンツは言わずと知れたエルフのゴーギャングである。
 彼らはLAでは非常に名の知れた存在である。
 彼らのスタイルはメディアに広く取り上げられ、現代のギャングファッションの旗手とも言える。
 一般人にとってギャングと言えばエンシェンツと呼ばれるほど浸透している。
 無論、彼らはシムスターではなくギャングである。
 ゆえに、密輸ルートの保持だけでなく、抗争においてもその凶悪な一面を持っている。
 
5.ランナーズ・サポート
 影を走る者達にとってそのサポートを提供してくれる集団は必要不可欠である。
 ここでは3つの場所を紹介する。
 
エスコンディード
 エスコンディードはサンオノフレ非武装地帯の南側に広がる谷間にある小さな街である。
 ここにはアズテクの傭兵達がたむろしており、ちょっとした訓練場もかねている。
 もしここで仕事にありつきたいならば、カーサ・リリャスを訪ねるとよい。
 カーサ・リリャスは、ヴィオレッタという小柄で可愛らしいヒューマンの女性*3によって営まれている。
 仕事が欲しければ彼女の前では礼儀正しく紳士/淑女でいることだ。
 もし彼女に何かあったのならば店の常連(腕利きの傭兵たち)が黙っていないだろう。
 そんなときはすぐさまメディ・カッロ(アズトラン版ドク・ワゴン)に連絡するのが懸命だろう。
 
ラグーナ・ビーチ居留地
 沿岸部にあるボートピープル居留地のひとつがそれである。
 ここにはテクノマンサーやハッカーたちのスポットであり、
 至る所に隠しカメラや監視ドローンが配備されている。
 もしも大切にしまい込まれた情報が欲しいならば、訪れてみると良いだろう。
 もちろん、来訪者自身も丸裸にされてしまうだろうが。
 
ハン・フリー・マーケット
 浸食を受けたセントラルLAの中程にある巨大な島、それがハン・フリー・マーケットである。
 当局のカメラ・ドローンすらやってこないここにはあらゆる装備や情報、仕事があつまる。
 高度に入り組んだ軍艦島であるマーケットは案内なしには迷ってしまうだろう。
 そんなときは波止場にいるストリートチルドレンに水か大豆バーを渡すことだ。
 彼らはどこへなりと来訪者を案内してくれるだろう。
 ここはロス・デサンパラドスと呼ばれる地元のギャングによって自警されている。
 彼らの多くは覚醒者である。
 地元の精霊と非常に仲が良く、問題をおこした輩には精霊の鉄槌が降り注ぐことだろう。
 

Corporate Enclaves (Shadowrun: Core Setting Book)

Corporate Enclaves (Shadowrun: Core Setting Book)

*1:無論、そうしたお宝が返還されることはない。

*2:PCCの方がこうした支援には古くから関わっていた。

*3:荒くれの罵詈雑言によって吹き飛ばれてしまいそうなほどか弱い。